ロシアピアニズムとは(3)~深い音~

ロシアンピアニズムの特徴の一つとして、
無限に広がるような深い音、があります。

豊かな倍音を湛えた深い響きには、単に、「聴く」のではなく「体験」するかのような説得力があります。

 

 

私もこのような深い響きに憧れ続けた一人でした。

どうしたらああいう音が出せるのだろうか、

自分には到底なしえないような異次元の響きに、畏怖の念を抱くことすらありました。

 

留学時代、同じクラスで学んでいた学生にロシア人がいました。

彼は大きな身体に大きな手を持っていて、その大きな音楽はいつも温かで自然体で深い響きを湛えていました。

ラフマニノフのコンチェルトなど、深い音を要求する作品を弾くときにはいつも、

彼に意見を求めていたのですが、

彼の打鍵はただただ自然で、見よう見まねで彼のゆっくりとした打鍵を練習したり、意識してフレーズを長くするように試みたりもしましたが、そんな「深い音」の秘密にたどり着く事はできませんでした。

今となってみれば、彼にとっての「自然」と、身体も手も小さな私の「自然」状態とが同じ状態であるはずもなく、自然である彼の手の状態が絶対的にどれくらいの力に耐えることができ、どれくらいの重さがあったのかを洞察する必要があったのです。

それどころか音楽が心の中を流れるスピードが違えば、手の動きも当然変わり、

動きが変われば音も変わる。

たとえメトロノームが同じ数字を刻んでいたとしてもです。

 

なかなかそこまでの考えに至ることはできず、

彼のように、ドからファまで届くような大きな手と鍵盤からはみ出るのではないかというような太い指を持ち合わせていないことが原因なのでは、

などと考えたこともありました。

 

しかし、

楽器の仕組みをきちんと理解し、

ハンマーが弦を打つ動きを明確に想像し、

楽器を合理的に鳴らすために必要な条件を知り、

では自分の身体でそれをどう実行したら良いのか、が判明していくにつれて、

少しずつ、確実に、憧れた音色に近づけるようになりました。

先生や名演奏家の演奏を聞くことのみでなく、

自分の演奏をいつも間近で聴いていた友人たちの客観的な洞察こそも、私にとって常に大きな助けでありました。

 

 

では今回はそんな「深い音」の秘密について、お話したいと思います。

深い音と聞いてどんな音を思い浮かべるでしょうか、

私は、柔らかで、様々な波長が溶け合った響きが、自分の身体を内側から振るわせるような

音を思い浮かべました。

 

芳醇な低音の響き、朗々と歌うバリトン、語るようなテノール、様々あると思います。

 

深い音、つまり倍音を豊富に含んだ豊かなを発音する為に大事なことは、

5つあります。

1 打鍵の入口と出口
2 しっかりとした指
2 柔軟な手首
3 柔軟な肘
5 意識(耳の使い方)

です。

 

この5つのポイントを押さえ、

鍵盤の深さの感覚をつかみ、手や手首、腕、の動きのタイミングがあってくると、

音質は確実に向上していきます。

 

次の記事では1~5による動作を
ロシアンメソッドって何?(3)~関節の柔らかい日本人~、ロシアンメソッドって何?(4)~手の中に持つ意識~
でお話した基本の手の型を準備したことを前提に、詳しくお話したいと思います。

 

良い音というのは、たった1cmの鍵盤を押しこむに際した、手のあらゆる動き、発音のタイミング、が、イメージする音に合わせて噛み合ったときに初めて得られます。

方法は一つではありませんが、一を知ることが、ピアノ演奏、練習向上の一助となれば幸いと存じます。

 

ご質問等は随時受け付けております。
お気軽にコメント欄、お問い合わせよりどうぞ🙇

ロシアンメソッド、アウェアネスメソッド
松岡音楽教室
松岡優明

Follow me!

ロシアピアニズムとは(3)~深い音~” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です