ロシアンメソッドって何? (3)~関節の柔らかい日本人~
関節の柔らかさは、演奏上にいくらかのメリットをもたらす一方で、潰れた音や手の故障の直接的な原因ともなり得ます。
これは、ある筋肉を鍛え、正しく使うことで確実に克服する事ができます。
ピアノ演奏において、腕や指の指の関節、とくに第一関節と呼ばれる、一番指先側にある関節の状態には努めて配慮をします。
第一関節の支えが弱いというのは、すなわち鍵盤への力の伝達が鈍くなるということです。
また関節の支えが強いということは、それだけ腕や体の重み、力がダイレクトに鍵盤に伝わるなります。
個人差はあるものの、日本人は西洋人と比べて比較的関節が柔らかいといわれています。
生まれ持った関節の柔らかさあるいは硬さに対して、その逆の状態を作り出せるようになることは、私達が自在にコントロールできる音色の幅を広げることでもあるのです。
また、こうしたことを意識することは、体や筋肉の使い方を意識することに他ならず、腱鞘炎などのピアノ演奏においてしばしば現れる身体的なトラブルを防ぐことにも非常に有効です。
さて、ロシアンメソッドのタッチでは必要不可欠となる、第一関節の硬さをどう作るのか。
それには、まず手の内側の筋肉を意識して使う事です。
指を固めようとすると、だいたいは腕の大きな筋肉が使われることになり、まず肘が固まります。
これはピアノの打鍵において好ましくはありません。こういった力の使い方による強い打鍵は手の故障の原因にもなり得ます。
ロシアンメソッドの基本的な手の使い方を学び、訓練することで、
関節が生まれつき柔らかい方や、手の小さい方でも、楽曲内で要求される速いパッセージやオクターブ、あるいは2の指が親指側に寄るような難しいポジションにおいても、無理のない理想的な打鍵を目指していくことができます。
ロシアンピアニズムとは(2)~語る音~でもお話したように、打鍵はシンプルでこそあれ決して簡単ではないというのは、理想的なタッチにはは様々な複合的な動き、筋肉、意識といった正しい体の使い方を理解した上で行われる「訓練」によって初めて実現されるものであるからです。
手の内にある筋肉を如何にして使うかに関しては、また次回詳しくお話したいと思います。
ロシアンメソッド、アウェアネスメソッド
松岡音楽教室
松岡優明(ゆうま)
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