人差し指をどう使う??

器用な人差し指

ピアノ演奏に於いて、人差し指つまり2の指の使い方ほど

個人差の多いテクニックはないでしょう。

2の指をどう使うかによって、あなたのテクニックがどこに分類されるかが変わってくるといっても過言ではありません。

まず、人差し指というのは腕から通ってきたまっすぐな軸の延長線上にあります。


つまり、人差し指というのは5指の中心に指であるといえます。

そして日常生活の中で、もっとも器用に、もっともたくさんの種類の動きを粉す指は、
この 人差し指 なのです。

 

ピアノ演奏における人差し指

人差し指はもともと使いやすい指であるため、ピアノ演奏においても4の指や5の指のように「弱い」と言われたり、「独立」に関して真っ先に問題となることは少ないと思います。

これは先にも述べたように、日常生活で器用にコントロールする癖がついているからです。

 

これは一見メリットのようにも思えますが、皆が一番よく使う指であるために、
良くも悪くも「もっとも癖が出やすい」指でもあるのです。

 

ピアノ演奏において、人差し指の扱い方というのは、
5指のなかでも、もっとも注意深く観察しなければならない指なのです。

 

人差し指はどう使われる?

では実際に人差し指がどう使われるのか、大きく三つに分けていきましょう。

 

まずは第二間接から折りたたむような動き。

 

 

そして、指の付け根から倒すような動き

 

 

3つ目は腕の上昇により指を下に下げるような動き。 

 

このように大まかに分けることができます。

自分は一体どのように人差し指を使う癖があるのかをよく観察してみることで、
苦手なパッセージにおける、テクニック的な問題解決につながることはとても多いのです。

人差し指の扱い方にバリエーションを学ぶことで、おおよそすべてのパッセージをより容易く粉すための道筋が、すぐに見つかるようになります。

そしてそれに付随するようにして、今まで考えもしなかった「弾き方」が見つかってくることだって、大いにあるのです。

 

人差し指の使い方が分けるテクニック

まず、第二間接から倒す動きを多く用いる人は、
いわゆる指の独立を重視したテクニック用いているのに対して、

指の付け根から倒す動き、あるいは腕の上昇とともに人差し指の打鍵を行う人では、腕の動きが大きく、独立して指を動かすことが少ない傾向にあります。

数あるメソッドでも人差し指に関する記述を見れば、そのメソッドが一体どんなテクニックを取得させるためのものであるのかが、一目瞭然となるのです。


たとえば、このようなパッセージを弾くときにどのように人差し指を使いますか?
この音型を右手の1-2-5で弾く場合に2の指をどう使うのかについて、
2つの弾き方の例を示してみたいと思います。

 


まずはこのように人差し指を使う動き、主に第2間接より先の部分を動かすことで打鍵します。




そして、次はほぼ指を動かさず(この時の指の形、伸びている、折れているなどは問いません)、腕を上昇にともなって人差し指の指先が鍵盤のそこに沈むような打鍵。

 

これらのほんの小さな指の使い方の違いによって、
この先に取得されていくであろうテクニックの行方は

想像を遥かに超えるほどに、大きく異なってきます。

打鍵の為に腕を使えるという事、あるいはその可能性を知らない、考えたこともない、
なんていう人は、これを学ぶことで自分自身も知らなかった

飛躍的なテクニックの進歩の可能性を見出すことができるかもしれません。

これは、本当に決して大げさなことではないのです。

 

ショパンの壁

ショパンは、ピアノ演奏に必要なものが「柔軟な腕」である、とはっきり明言しています。

それどころか、「あなたがピアノ演奏をするために指を鍛えようとするのならば、それは散歩をするために逆立ちの練習をしているようなものです。」とまで言っているのです。

とりわけ日本ではショパンを好む人が多いのに対し、学生が練習曲を除いてコンクールの自由曲などでショパンを積極的に演奏する人が少ない、あるいはショパンのエチュードに大きな壁を感じている人が多いのは、指の独立に対して否定的であったショパンの奏法とはどんなものであるか、ということに明確な理解がなく、弾き方、あるいは練習方法がわかっていないことにあると考えています。

まず、ショパンのエチュードは指の独立ために書かれたものではありません。

ピアノ演奏において、腕を柔軟に動かしながら使うことを前提とし、その腕の動きの種類を細分化カタログのように示し、習得させるような目的の元に書かれています。

 

指の独立や俊敏な動きを使って演奏しようとすれば、相当に指が独立し、俊敏に指を動かすことのできる人でない限り、たちまち腕に痛みを伴ったり、
そもそも全く太刀打ちできない、なんてことだってある、そんなある意味では危険な練習曲なのです。

話がそれましたが、人差し指の使い方というのは、
ピアノ奏法に於いては、それほどに大きな鍵を握っている指なのです。

 

まとめ

ピアノの奏法は、100人いれば100通りあります。

身体的特徴、あるいは得意不得意、そんなものによって同じメソッド本を読んでいても、正しく指導されない限り、取得されるテクニックは一人一人かなり大きく変わってしまいます。

そして、誰にも必ずテクニックを飛躍的に向上させる余地は残されています。

だからこそ、
こんな風に弾きたい!という思いが強いのに、

壁にぶち当たったように感じる人
自分は弾けないんだ、と思い込んでいる人

特にそんな一人一人に、なにか有益なヒントとなるような記事を書きたい、
そんな風に思ってこのブログを書いています。

子供たちや学生がコンクールで演奏しているのを見る度に、
総じて、体系化された「テクニック」をしっかりと学んでいる生徒が少ないことを非常に残念に思います。

今まで考えもしなかったような 小さなヒント がきっかけになって、
一人でも多くの学習者の明日の音楽が、少しでも明るく前向きになって欲しい、
そんな風に願っています。

 

それでは今日はこの辺で。

 

松岡音楽教室
松岡優明

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